株式会社Sinc - Sun Messe Innovative Network Center

ニュース

【2023年2月6日】「サステナビリティメディア ラウンドテーブル」(主催:ウォルト・ディズニー・ジャパン)において、当社取締役専務執行役員、サンメッセ総合研究所(Sinc)代表の田中信康がファシリテーターとして登壇

2023年2月6日(木曜日)、ウォルト・ディズニー・ジャパンが主催する「サステナビリティメディア ラウンドテーブル」において、サンメッセ総合研究所(Sinc)代表、サンメッセ株式会社取締役専務執行役員の田中信康が、ファシリテーターとして登壇しました。

このラウンドテーブルは映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」公開と合わせ、海や水、海洋生物の保護、生物多様性という観点から、現状の問題を認識し、改善のための具体的なアクションを促すためのきっかけづくりを目的として開催されました。パネリストとして、公益社団法人日本動物園水族館協会 事務局長 岡田尚憲氏、沖縄美ら海水族館 統括 佐藤圭一氏、ウォルト・ディズニー・ジャパン エグゼクティブ・ディレクター 秋月希保氏が登壇し、それぞれの活動や考え方について議論しました。

ウォルト・ディズニー・カンパニーは、「物語の力でより良い世界へ」をパーパスとして掲げ、「World of Belonging」「World of Balance」「World of Hope」の3つのピラーを軸に、次世代を担う子供たちやその家族に向けたCSR活動を行っています。その一環として、映画「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の公開にあわせ、「Keep Our Oceans Amazing~わたしたちの素晴らしい海を未来に残そう~」というグローバルキャンペーンを展開。昨年12月には、沖縄美ら海水族館において、地元の小学生90名を対象にした特別講座を実施しました。
参加した子供たちからの反響は様々で、「ジンベエザメの出産は見たことがなかった」「エイの出産シーンに感動した」などの感想から、一方で、ごみを排出することによって、海洋生物に影響を及ぼしていることを理解し、「自分の行動を変えたい」「友人や家族に伝えていきたい」というような取り組みにつながりました。この取り組みをここでとどめてはいけないと考え、今回のラウンドテーブル開催に至ったと、冒頭で秋月氏が実施の経緯を説明しました。

海や水、海洋生物を守っていくために、私たちの意識を高めていくことが必要。特に未来世代に伝えていくことが、近道になる。

(以下、敬称略)

田中:今活動なさっていることにおいて、海や水、海洋生物を取り巻く問題、社会課題の現状についてお聞かせください。

岡田:日本動物園水族館協会では、90の動物園、51の水族館が会員になっています。会員の動物園・水族館のためにできることをやっていくというのが協会の基本。地域で一生懸命活動している園館を環境問題、福祉問題も含めどれだけ協会が応援できるかが使命です。関係省庁と連携し、色々な行事への参加を通じて、議論を進めると同時に、マイクロプラスチック問題やパーム油の問題に関する情報の発信に取り組んでいます。

佐藤:美ら海水族館は当初、経済振興という視点で建設された施設でした。コロナ前には沖縄への入域観光客は1,000万人にも達していました。現在は様々な環境負荷というものが問題になっており、持続的な経済、社会を作っていくためにどうあるべきかを、深く考えなければいけない状況にあります。
沖縄では海のごみ問題や水の問題というのが発生していますが、北海道では、それ以上に魚種交代の問題が出てきています。環境問題は、地球上の人が一様に不利益を背負う問題ではなくて、局所的にその地域に住んでいる人が理不尽な思いをしていくということ。世の中の人たちが平和を維持して、互いの問題を理解し、話し合いながら、協力し合って解決していく必要があると実感しました。

田中:COP15において30by30議論が採択されましたが、本当にごく一部の方々の認識の中に留まっているというのが今の問題ではないでしょうか。国内での動きについてどう感じられますか。

岡田:協会としては一生懸命やっていきたいとは考えています。しかし、関係省庁の方と話すと実行案がまだ整ってないという感じがしますね。細かい道筋を立てて、広く国民に対してアピールしてもらえるといいですね。日本動物園水族館協会でも、協会のホームページを見てくれる人に、自然環境はどうなのか、生物多様性はどうなのかという話を伝えられる立場にあるのではないのかなと思います。

佐藤:自分たちの地域、例えば沖縄であればサンゴの保全や、海草藻場の保全が環境にとってどのようなメリットがあるかを、水族館の活動を通して理解してもらい、より良い社会を作っていくことが最終的なゴールだと思います。特に子供を含めた若い人たちを教育していくことが、一見すると遠回りではあるけれども、10年単位で考えれば近道な気がします。

田中:「Keep Our Oceans Amazing~わたしたちの素晴らしい海を未来に残そう~」について、現地での感想をお聞かせください。

秋月:ディズニーの強みである「物語の力」と発信力をポジティブに活用し、子供たちに対して、日頃の生活で自分たちが何をやれば何につながるという、この一連のつながりを実感してもらうということに意義があるかなと思っています。スタートしたばかりの取り組みですが、これをいかに継続的にわれわれの取り組みに落とし込んでいけるかが今後の課題だと思います。
今年もまた海にまつわる作品、『リトル・マーメイド』の公開もありますので、継続的にどのように広げられるかは、今後考えていきたいところです。

田中:企業の強みを生かして、事業を通じて貢献するイベントになったかと思いますが、初めてこのようなコラボレーションを実施し、どのようにお感じになられましたか。

佐藤:水族館としては、社会に対して、少しメッセージ性のあるものを伝えていきたいなと考えています。その中で今回『アバター』という映画を通して、メッセージ性のあるものを伝えていける機会ができたのは、ある意味でわれわれが今までやってこなかった、異業種の方々とつながって、さらに間口を広げていくという機会になったのかなと思います。
社会の同じ意思を共有する人たちとつながって、新しい分野で広く連携していくことがとても重要なのかなと思いました。

問題を解決するカギはパートナーシップ。多様な視点で議論し合うことが必要。

田中:これからを担う子供たちに残していかなければならないこと、われわれ自体もまだまだ行動を変えていかなければいけない中でこれからの期待や、未来の世代に必要なことは何でしょうか。

岡田:ここ2年ぐらい非常に興味深いのは、水族館、動物園と直接関係のない企業から、自社のCSRの活動の一環として、協会と連携をして何かやりたいという話をいただくことが多いですね。これから日本を担っていく次世代の人たちに「どういう形で私たちの企業が関わっていくのか」ということを訴えるために、お声がけいただいているのではないかなと思います。動物園も水族館も、基本的には子供たちが楽しんで勉強してくれる場所を提供しているわけですが、そこにおいての活動が、未来の日本を背負っていく子供たちに影響を与えることができるか、にもつながっている感じがします。やはりどう伝えていくか、どう理解してもらえるか、それがどう子供たちの中で成長していって、それがどう次の世代に生きるかということは、常に考えています。

佐藤:人材育成という点で考えてみますと、やはり皆さんに動物に興味を持ってもらいたいと思っています。しかし、皆さん同じ考えを持ってほしいかというと、そうではありません。多様な考え方をする人材が、自由に議論できる場を作れるような、そういう社会が最も健全なのかなと思います。例えば今回の映画を見ても、これが正解だという主張があり過ぎてもいけないと思いました。いろんな場面でより良い道を議論し合える、そのような人材を積極的に育成していくことが大事だと思いました。

秋月:私たちはエンターテインメントが事業の根幹ですので、「エンターテインメントを通じて、気付けば学んでいた」ということ。これはウォルト・ディズニー本人が残した名言のひとつなのですが、まさしくそれが大事なのではないかなと思います。CSRと事業は別々ではなくて、事業を通じて理解を促進するということを考えると、次世代向けにはエンターテインメント、作品を通して、または何か楽しいエンゲージメントを通して気付きを与えて、気付きというよりは学んで、そこから、自分から行動に起こして、こういう循環型をどうやって作り上げていくかというのが、われわれの使命と思います。
今回のイベントも1社だけでは絶対できないことでしたので、パートナーシップを組んでやっていかなければいけないというのが今回の大きな気付きになりました。

田中:共創プラットフォームの中にサーキュラーな社会システムを作っていくというのはとても大事なことで、世界的にも事例が出てきている中で、国内ではまだ事例が少ない。こういう事例をどんどん国内に広げていくことができたらと期待する面として、本当に有意義なディスカッションだったと思います。

ラウンドテーブルに参加したメディア各誌からは、「エンターテインメントと環境問題の啓発の両立の可能性」や、「共感を行動につなげていくところの障壁を、どのように乗り越えるべきか」などの質問がありました。それに対し秋月氏は、「エンターテインメントの活用によって、楽しく、でも気付きはある、という取り組みができるのではないかなと思っています。なぜ『Keep Our Oceans Amazing』を世界で実施しているかというと、『海はつながっている』からです。日本だけではなく世界みんなの問題だということが大事なポイントだと思います。」と、今後の継続的な取り組みに向けた決意を語られました。

Sincでは今後もサステナビリティやSDGsなどの社会実装に関する支援を広く実施してまいります。ご遠慮なく、お問い合わせください。