なぜ今、「統合思考経営」なのか?
~ESGを踏まえた長期にわたる価値創造のために~
人材多様性と人材ポートフォリオ(その3)
~もはや、新卒一括採用・終身雇用・年功序列では戦えない !!~
前回(第29回)は、日本企業が昭和的な雇用・人事慣行に基づく同質性集団から脱して、いかに多様性集団に転換するか、という問題意識の下、「人材ポートフォリオ」を考える雇用慣行3軸の1つである「人材属性(採用慣行)」を取り上げました。
今回は、2つ目の軸「キァリア形成(人事制度)」において、最近話題の「メンバーシップ型」と「ジョブ型」に着目し、日本企業の「ジョブ型人事」への転換の現状と課題を踏まえ、その方向性を論じます。
大きく変容する日本企業の人事制度
日本企業の人事制度が大きく変わろうとしています。背景には人口減少に伴う質量両面の「人手不足」の深刻化があります。しかし、本当に同質性の強い組織集団に風穴を開け、日本企業の競争力強化と復権につながるのでしょうか。本当に社員のキャリア形成に実効性のある人事制度は実現するのでしょうか。
本稿では、「時代に合わなくなった日本企業の人事制度をどうするか」の問題意識のもと、メンバーシップ型とジョブ型に着目し(図表1)、それぞれの特徴を確認したうえで、「ジョブ型人事」の先進事例から現状と方向性を考えます。なお、キャリア形成のための社内転職、副業、リスキリングなどは、次回論じます。

- (資料)筆者作成(本図は、本コラムシリーズ第28回の図表2に加筆のうえ再掲)
以下の<目次>は、フルレポート(稿末参照)から「見出し」を抜粋したものです。
この「見出し」から、筆者の着眼点や問題意識がご理解いただけると思います。
ご関心のある所や直面する課題からお読みください。
<目次>
大きく変容する日本企業の人事制度
- 「入社年次」や「同期」は死語に?
- 「もはや、メガバンクでも新卒一括採用・年功序列は限界!
「メンバーシップ型」から「ジョブ型」への転換が始まった !?
- 「ジョブ型の導入」は「メンバーシップ型の廃止」と認識しているか?
- 何のために、ジョブ型人事を導入するのか?
日立とNTTは「ジョブ型人事」で何をめざすのか?
- 日立の大改造と連動する「ジョブ型人財マネジメント」
【ジョブ型人事のインフラとしての「グローバル共通人財マネジメント基盤」】
【ジョブ・ディスクリプションで、社内人材と社外人材が競い合う ! 】
【社内公募・応募では、会社と個人の関係は対等に】 - 日立におけるジョブ型人事への転換の必然性
- 社長が主導するNTTのジョブ型人事(年次主義の廃止、管理職の格付け)
メンバーシップ型を残したままで、「ジョブ型」と言えるのか?
- 日本企業の「ジョブ型人事」への疑問
- 「就社型」とは、まず会社のメンバー(社員)になること
- 実態は、「ジョブ型導入」と称して、メンバーシップ型の部分修正
- 波紋を呼ぶ「最高裁の令和6年4月26日判決」:解雇か配置転換か?
「日本流ハイブリッド型雇用」の模索
- メンバーシップ型とジョブ型の「折衷案」と「併存案」を試行する
【日本流ハイブリッド型雇用(折衷案)】
【日本流ハイブリッド型雇用(併存案)】 - 戦略変革には「社外の血」が必要、内部昇進者や新卒者だけではムリ
● 雇用の入口-出口革命:新卒一括採用の縮減、キャリア人材の通年採用の拡大、定年制の廃止
● 人材戦略のインフラ整備:グループ内で共通の新しい職務等級体系、評価体系、賃金体系の構築
今回は、日本企業の脱同質性に向けて、メンバーシップ型とジョブ型に焦点を当てた人事制度を考えてきました。日本では欧米と異なり、企業横断の労働市場は形成されていません。そこで、日本流の新しい雇用形態を企業だけが考えるのではなく、教育界や経済界をはじめ社会全体で議論することが必要です。
次回(第31回)は、今回の続きで、社員のキャリア形成に資する人事施策の現状と課題を論じます。本コラムのフルレポートは、こちらからダウンロードしてください。
(つづく)